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Press Release プレスリリース

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生命がいるかもしれない惑星の”影”の観測に成功

国立天文台、東京大学、アストロバイオロジーセンターを中心とする研究グループは、国立天文台・岡山天体物理観測所の188cm望遠鏡と最新の観測装置MuSCAT(マスカット)を利用して、生命がいるかもしれない太陽系外惑星「K2-3d」のトランジット現象(惑星が主星の手前を通過する現象、言わば惑星の”影”)を地上の望遠鏡で初めて捉える事に成功しました。地球に近い大きさと温度環境をもつこの惑星では、次世代の大型望遠鏡(TMTなど)を利用してトランジット現象を精密に観測することで、将来的に、惑星の大気中に生命由来の分子(酸素など)を探ることが出来ると期待されています。しかし、これまでの宇宙望遠鏡による観測だけでは、惑星の軌道周期が精度良く求まらず、将来起こるトランジットの時刻を正確に予測することが出来ませんでした。研究チームは今回の観測により、惑星の軌道周期を誤差約18秒という高い精度で測定し、将来のトランジットの予測時刻の精度を大幅に高めることに成功しました。これにより、次世代の大型望遠鏡を用いてこの惑星の大気を調査出来る見通しが高まりました。今回の研究成果により、将来の地球外生命探索に繋がる重要な足がかりが得られたと言えます。 この研究成果は米国天文学専門誌「アストロノミカル・ジャーナル」に2016年11月21日付で掲載されました。 タイトル: Ground-based Transit Observation of the Habitable-zone Super-Earth K2-3d 著者: 福井暁彦(国立天文台)、John Livingston(東京大学)、成田憲保(東京大学/アストロバイオロジーセンター)、平野照幸(東京工業大学)、鬼塚昌宏(総合研究大学院大学)、笠嗣瑠(総合研究大学院大学)、日下部展彦(アストロバイオロジーセンター) 論文へのリンク: AJ版:http://iopscience.iop.org/article/10.3847/0004-6256/152/6/171 arXiv(プレプリント)版:https://arxiv.org/abs/1610.01333
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そこにあるはずがない惑星を発見

東京工業大学、東京大学、アストロバイオロジーセンター、国立天文台などの研究者が参加する国際共同研究チームは、ケプラー衛星の第2期観測であるK2のデータと地上からの追観測を組み合わせることによって、準巨星のすぐそばを公転する巨大惑星K2-39bを発見しました。このような場所にある巨大惑星は時間が経つと親星による潮汐力(月による地球の海の満ち引きと同じ力)によって破壊されてしまうと考えられますが、K2-39bはそうなってしまう前に運良く発見された惑星ではないかと考えられます。
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生命がいなくても酸素を豊富に保持する 地球型惑星の存在可能性を示唆

宇宙の中で、この地球は生命が宿る星であり、植物の光合成によって酸素がうみだされ、酸素を豊富にたたえています。これによって、 動物など多様な生命が地球に存在できています。自然科学研究機構では、2015年4月にアストロバイオロジーセンターをたちあげ、 天文学とさまざまな科学との融合による「宇宙における生命」研究を推進しています。今回、このアストロバイオロジーセンターの成田憲保 特任助教(自然科学研究機構・国立天文台系外惑星プロジェクト室(併任))と、同機構・分子科学研究所の正岡重行 准教授らの共同研究グループは、 生命が必ずしもいなくても、酸素を豊富に保持する地球型惑星が存在しうることを理論的に明らかにしました。 今回の研究成果は、これまで行われてこなかった天文学と分子科学の融合的研究としても注目されるもので、 さまざまな学問分野の連携によるアストロバイオロジー研究の取り組みが重要であることを示しています。 本研究は英科学誌サイエンティフィック・レポート(Nature系姉妹誌)の9月10日号に掲載されます。
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新しい系外惑星観測装置MuSCAT(マスカット)、始動

2014年12月24日に、系外惑星の発見と大気調査を目的として開発された新しい観測装置「MuSCAT(マスカット)」のファーストライトが行われました。  MuSCAT ( Multi-color Simultaneous Camera for studying Atmospheres of Transiting exoplanets ) は国立天文台や東京大学などを中心とした研究グループが開発を進めてきた、岡山天体物理観測所188cm反射望遠鏡に搭載するための「3色同時撮像」装置です。
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「もや」のかかった温かい巨大ガス惑星

福井暁彦研究員(国立天文台)、大学院生の川島由依さん(東京大学)、生駒大洋准教授(東京大学)らを中心とする研究チームは、太陽系外惑星(以下、系外惑星)のなかでも比較的温度の低い巨大ガス惑星「WASP-80b」の大気を観測したところ、大気中に「もや」がかかっている可能性があることを発見しました。
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青い光で見るスーパーアースの空

国立天文台と東京大学を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された2つの可視光カメラ Suprime-Cam と FOCAS に青い光だけを透過するフィルターを装着して、へびつかい座の方向、約 40 光年のかなたにあるスーパーアース GJ 1214 b の空 (そら) を観測しました。
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晴天のスーパーアース?

福井暁彦研究員(国立天文台)、成田憲保特任助教(国立天文台)、大学院生の黒崎健二さん(東京大学)らを中心とする研究チームは、国立天文台・岡山天体物理観測所の2台の望遠鏡を使用して、かに座にあるGJ3470bと呼ばれるスーパーアース(巨大地球型太陽系外惑星・注1)の大気を世界で初めて観測しました。この惑星は質量が地球の約14倍しかなく、これまでに大気が調査された太陽系外惑星としては二番目に軽い天体です。観測データの解析結果から、この惑星には厚い雲が無く、晴れている可能性が高いことが明らかとなりました。
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