系外惑星プロジェクト室で観測する天体は、太陽より若い星のまわりの惑星や星が誕生する現場(星形成領域)が主な観測対象になります。若い天体は年老いた天体より明るく、また、主星との明るさ比も小さいからです。それらを有効に観測するため、可視光より少し長い波長である、近赤外線領域での観測が効率的な方法になります。また、太陽の近くの地球型惑星探査を行うには、赤外線による視線速度法(ドップラー法)が最適です。さらに、赤外線による偏光観測は星・惑星形成だけでなくさまざまな分野に応用可能です。当プロジェクト室では、下記のような近赤外線の観測装置を開発し、観測を行っています。それぞれの装置には取り付ける望遠鏡に合わせた個性があり、ここではそれらの概要についてご紹介します。
すばる望遠鏡に搭載された、SEEDSプロジェクトにおける主力装置。系外惑星そのものや、星の周囲にある円盤(星周円盤)を直接撮像するため、非常に明るい中心星のすぐそばにある、暗い天体を検出する能力(高コントラスト)に特化した装置(コロナグラフ)です。
すばる望遠鏡に搭載予定の近赤外高分散分光器です。波長を超精密に測定するための光周波数コムと組み合わせて、太陽より軽い星(M型星)の周りに地球質量の惑星を探すことが目的の、現在開発中の装置です。
南アフリカにある1.4m望遠鏡IRSFに搭載された、近赤外線3色同時偏光撮像装置。天体からくる『偏光』という特殊な光を観測し、星形成領域の磁場構造や、星周構造に関わる情報を得ることができます。
SIRPOLが搭載された
南アフリカの1.4m望遠鏡IRSF