HOME>系外惑星探査とは?

これまで人類が直接観測に成功した系外惑星はおよそ10個(2013.4.5現在)

そのうち3個の観測に国立天文台太陽系外惑星探査プロジェクト室が関わっています。

ホットジュピターの想像図

ホットジュピターの想像図

左の大きな星が中心星で、右側が系外惑星。

系外惑星探査とは?

系外惑星とは何か?

太陽系の外にある恒星を周回する惑星を、太陽系外惑星(系外惑星)と呼びます。
確実な系外惑星は1995年にペガスス座51番星の周りで初めて発見されました。中心星をわずか4日程度で一周する、木星の半分ほどの重さの系外惑星でした。中心星との距離が近いため表面温度は1000度を超える灼熱の惑星で「ホットジュピター」と呼ばれます。
ホットジュピターの他にも、楕円を描きながら恒星を周回する「エキセントリックプラネット」や、地球の数倍程度の大きさの「スーパーアース」など、太陽系のどの惑星とも似ても似つかないものも数多くあり、発見された個性的な系外惑星たちは、私たちに多様な姿を見せてくれています。
当プロジェクト室で進めている直接観測(後述)もまた、太陽系の惑星とは異なった姿をもつ惑星を発見しています。これらは、木星の数倍〜十数倍もある巨大惑星が海王星よりも遠くにある惑星系です。

系外惑星探査の意義

この広い宇宙の中で、で私たち人類は特別な存在なのでしょうか? それとも、生命が育まれているような第2の地球は存在するのでしょうか?
これは、天文学者の興味だけでなく、多くの方々が広く抱かれる疑問だと思います。事実、地球以外の惑星・生命の探査は古くはギリシャ時代の哲学論争から始まる人類の夢でした。そして、1930年代以降から系外惑星探査の試みがなされましたが、そのことごとくが失敗に終わっていました。SF小説や映画の世界では様々な宇宙人が想像たくましく描かれましたが、科学の世界では逆に、地球外生命に対して悲観的な見方が支配的になっていたと言えるでしょう。
しかし、生命の母体と言える惑星を太陽系外に求めるプラネットハンティングは1970年代以降、観測技術が飛躍的に向上し、成功への機は熟しつつありました。太陽から地球までは光の速さで約8分ですが、最も近い恒星までは約4年もかかるので、太陽系内の8つの惑星と比べるとはるか彼方にある天体です。そのような遠方にある系外惑星の検出は、従来の天文観測手法と比べるとはるかに高い性能を要求します。とりわけ、惑星による恒星のふらつきをとらえる分光観測は、間接的な方法ながら最初に惑星検出が可能なレベルまで到達しました。そしてついに、1995年の確実な系外惑星の発見により、宇宙における生命の研究につながるパンドラの箱が開かれました。
これ以降、現在(2013年1月)に至るまで、有力候補も含めると3500個以上の系外惑星が発見され、地球外生命の問題に科学的にアプローチすることが可能になっています。とりわけ、2009年に打ち上げられたケプラー衛星の成果は目覚ましく、間接法ながら惑星の影として捉えられた惑星候補は2700個を超え、地球サイズの惑星も発見されています。
現在では、系外惑星を間接的に検出するだけでなく、画像として直接に捉えることができるようになりました。ただし、間接法と比べると直接法は技術的にも難しく、その例はまだ非常に限られています。このように、「第二の木星を直接に写し、精査すること」が当プロジェクト室の現在のミッションのひとつです。

系外惑星探査の意義

プロジェクト室について

プロジェクト室について

すばる望遠鏡に搭載された近赤外高コントラスト撮像カメラ(HiCIAO)

太陽系外惑星探査プロジェクト室は、ハワイにあるすばる望遠鏡にオリジナルな観測装置(HiCIAO)を開発し、明るい中心星のすぐそばにある、極めて暗い系外惑星や中心星の周りにある円盤(星周円盤)の直接観測を行っています。この観測(高コントラスト観測)によって、巨大惑星や惑星の誕生現場である星周円盤を探ります。
そして、赤外線を用いた超精密分光器(IRD)を開発し、われわれの近くにある「第二の地球」の検出を目指します。これは、ケプラー衛星では発見できない、太陽近くの地球型惑星を軽い恒星の周りに発見することができます。
さらに、将来の巨大望遠鏡(TMT)あるいは将来の宇宙望遠鏡計画(SPICA、TPF)のための系外惑星探査装置を開発し、「第二の地球に生命を求める」というステップに到達する研究を推進します。
このような研究・開発を通して、私たちは、宇宙で私たち人類は特別な存在なのか、それとも、生命が育まれているような第2の地球は存在するか、という問いに答えたいと考えています。