SEEDSプロジェクトにおける主力装置です。系外惑星や星の周囲にある円盤(星周円盤)を直接観測するためには、非常に明るい中心星のすぐそばにある暗い天体を検出する能力(高コントラスト)が不可欠になります。そのために、明るい恒星からの光を遮り、近くの惑星・円盤を捉えるための特殊な技術、コロナグラフが必要になります。HiCIAO(ハイチャオ)は、従来のコロナグラフだけでなく、高コントラストを実現するための先端技術をも利用できるように開発された、近赤外線高コントラスト撮像カメラです。2009年よりすばる望遠鏡において本格的に稼働しています。
CIAOからHiCIAOへ
すばる望遠鏡には世界の8m級の大望遠鏡に先駆けて専用コロナグラフカメラ(CIAO:チャオ)が2001年より設置されていました。その後継機となるHiCIAOでは、従来のコロナグラフだけでなく、いろいろな差分撮像(波長、偏光、角度差分撮像法:いずれも明るい恒星からの光を低減する手法(後述))の先端技術も利用できるように開発されました。
HiCIAOは、すばる望遠鏡の赤外ナスミス焦点(図1参照)に設置されています。望遠鏡からの光は一度補償光学装置(AO188)を通り、HiCIAOのコロナグラフなどの入った常温の部分を通ったのち、-80℃に冷やしてある検出器の入った赤外線カメラ部分に届きます。(図2,3参照)
観測する波長は、近赤外線(0.85〜2.50μm:Y, J, H, Ksバンド)となります。
HiCIAOが実現する3つの差分撮像
- 波長差分撮像法:
- 特定の吸収線のある波長とない波長のない波長を同時に撮像し、その差分を取ることで、その吸収線に特化した撮像モード。木星などのガス惑星ではメタンが存在するため、メタンに特化することで高コントラストに惑星を撮像できます。
- 偏光撮像法:
- 天体からくる『偏光』という特殊な光を捉える撮像モード。若い天体の周囲には原始惑星系円盤があると考えられ、その円盤を捉えるのに強力な撮像モードです。
- 角度差分撮像法:
-
地球の自転に伴って動いて行く天体は、見かけの角度が変わって行きます(図4参照)。特に天頂付近ではこの角度の変わり方が早く、特別な解析方法と合わせることで、効率的に高いコントラストを達成できます。
- ・ 観測する波長:近赤外線(0.85〜2.50 μm:Y, J, H, Ks バンド)
- ・ 観測モードとそれぞれの視野(図5参照):
観測モードとそれぞれの視野
- ・ 通常撮像:20×20秒角
- ・ 偏光撮像:10×20秒角
- ・ 波長差分撮像:5×5秒角
それぞれのモードでコロナグラフモード、角度差分撮像モードが使えます。
*1秒角:1度の1/3600。参考:月の見た目の大きさは約0.5度角